島へ行く船の人達おしなべて
港へ手を振るひかる灯台

死の匂い引き連れ秋の土星の環

風葬を言葉は全て蝶となる

夜空には荷が重すぎる

sing a song

ぺんぎんの
ひなを
ふたりで見つめれば
むごんに春のひだまり満ちる

かーてんの
裏で
ふくらむ秋の陽の
焦げたバターのようなしきさい

まがたまとして終戦の日をねむる

かいじゅうの
ように
驟雨をなぎたおし
きみの待つ駅まで駆け抜ける

泣き終えた後のすっからかんの空

なのはなの新芽を
なでてゆくように
きみがはじめて下の名を呼ぶ

祖母の骨
ひろう
右手のよどみなく
思慕は五感のようにあやうい

助六にいなされるおなかもおなか

ヒヤシンス同士だったと思います

そうすれば牡丹の部屋に着く手筈

魔導書は贋作にして旅枕

ごめんねがきちんと言えず
ポップコーンを頬張っている

はち切れんばかりに芋虫の無邪気

左右から刻む前髪秋時雨

秋灯にエンジン剥き出しのバイク

枝垂桜父許すことあきらめて

檸檬ひんやり
私の影も

死にかけの目でまさぐれる
色をして

A.M.6時の赤本　ひややか

煙のないところに
火は生まれていて
ビンゴカードの１５を
潰す

僕が僕に飽きないように濡らす石

そのときが来たら
誰でもごきげんに
ポン・デ・リング
と言うのが好きだ

秋晴のティンパニの裏秘密基地

瞬膜を忘れて
僕ら、鳥威し

まんじゅしゃげ、
まんじゅしゃげって
歩く犬

月を呑む仕草フトアゴヒゲトカゲ

生きるって白桃ほどの恥ずかしさ

秋の夜
煙突のあるクリニック

聖書五回通読したら
月に
　　なる

秋風がときおり入るコンビニの
お菓子の棚の前で見つかる

榠櫨の実鞄に水着のみ入れて

手術痕まっすぐ抱え
ぼくたちの犬は
テニスボールをよく守る

ＡＴＭの口すぐ閉じて冬薔薇

ラップの水垂れて後の月ひかる

地下鉄の水買う打ち明けたいこと
がある

感情という障がいを持ちながら
空が綺麗で生き延びている

ねむるとき
なにかに落ちて
ぼくたちは
うまれるまえのじかんを生きる

セイタカアワダチソウで
雲を泡立てた
絵画のような夕暮れが来た

雨が降る
世界が少し透けている
確かにそこに誰かいたのに

嫌われて叩かれようが虫は飛ぶ
僕の持たない羽のきらめき

ここに死はあるかもしれず
あなたからもらった鍵が
ずっと冷たい

還る場所と言われ眼裏に浮かぶ
海に似ていたあの保健室

りんごろごろごろ
赤い鈴
びいどろどろどろ
透けた鈴

浮いた話の一つや二つ
沈めた話の三つや四つ
泡立つ話の五つや六つ
七つのくつ

おおごえって 
（まどをこえる）
（さかをくだる）
（うみにとける）
たのしい

みそ汁に彗星の落ちる音

金木犀が燃え盛り
横顔を知らない人の日記を読んだ

靴下の石みたいな
違和感に気づく

モーニングコール時雨の海を見て

不老不死☆カットの林檎です

地球儀に
満遍なく陽を当ててやる
神様のかわりなんていない

くりかえす瓜実顔をくりかえす

履歴書に幻ですと書いてある

駅中のトイレの匂い消すために
春は少し遠回りする彼

日常の未来を見るな冬キャベツ

曇り空窓の西日はなぜあかい

洗濯をしただけの日に泣きそうで
眠れないのはコーヒーのせい

迷子ならできる　心中ならしない
あなたの森で担ぐ猟銃

風吹けば風のかたちに沿うように
人の仕草のひとつひとつは

ピークはまだこれからのこと
猫ならば
秋のさやかに喉を鳴らして

十四の子は駆け抜ける
廊下（コンコース）
金木犀のつめたいあまい

旅に出る夢を夢から取り出して

黍嵐あたま掠める複葉機

林檎持ち上げる林檎の重さぶん

一人づつ眠ってしまう流れ星

蜉蝣の骸かすかに海の色

沈黙の檸檬ひかりは直角に

白菊の深々として夜の真珠

これからも目覚めることのない芒

晩秋の椅子の記憶がきしみだす

ジャック・オー・ランタン
祖母の家に灯り

桃をむく間に散ってゆく子供

振り向けば雨　いつだって
あの子のいないところが世界

蜆茹で一重まぶたを許し切る

桜咲くことがニュースになる国で
光に重さなんてなかった

チカチカのチは点でカは滅である
来世は雪になる信号機

泣いていることを責められ虫時雨

全部嫌で寂しくて秋雨きれい

体重がいくら増えても蓮の葉に
乗れるのかもと見るたび思う

悪役で終える一日鉦叩

眠剤に林檎のうさぎ跳ねている

笑みを浮かべるハロウィン南瓜

犬つれて散歩にでれば
西空が空爆のごとくに赤い

風船に
秋の空気を吹き込んで
同窓会の欠席に〇

秋の朝ひとひとり通れるすきま

解脱して豆腐屋の笛聞く小春

電車待つ
版画の線の秋しぐれ

チェロの弓立てかけたまま滅ぶ星

星々をプラネタリウムで匿って
夕闇に放すみたいなお仕事

僕だって明日の朝を楽しみに
眠りについた夜もあったさ

秋の夜の
カーディガンから冷えてくる

軽鴨のまだいるような夜の池

額縁の白銀濁る冬館

なしくずし的に川面を見わたせば
わたしがわたしになって久しい

ギター弾いても海鳴りは
消えないし葛

宿題も好きよマーガリンっぽくて

心臓が鬼燈になるちょっと泣く

アメ横のうなぎ安いね駅まで歩く

初嵐見て恐竜の形のピアス

鏡台の右側だけにうつる母

ゆうやけがまだ帰ってくれない

ヨーグルッペ僕ら色なき風のなか

おとうとがゼリーに
とけなくて焦る

弱いから
シャワーで泣いている未明

すぐ行きます。
寂しい縄跳びの音です

ツーブロに
すればするほど頑張れる

激光に、
ああ、
バスタブが燃えている

うどんの匂いがしたら
嘘をついている

小雨が摘んだ
金木犀摘んだ
今日の日暮れは
黄色に甘い

冬の暮繰り返し聴くジョンレノン

ハロウィンのように
       顔の無いヒマワリ

うなそこに
もろてがとどく

虫の秋

十月の四十年後の誕生日

虫籠提げて
蒼白い

美術館

お気に入りの毛布みたいに
無花果のぬるくなった
切り口撫でる

信仰のようで静かな電球が
線香花火の牡丹のひかり

もう年を取らない息子に
もうすぐ会えそうだよと報告する
墓掃除

最後まで
許すことの出来なかった父の
喉仏を拾う火葬場

無秩序に増えてくスプーン
朝の喧騒

静かな寝室で
自己嫌悪の波に溺れる
怒ってごめんね
君の幸せを祈るだけの人生

夜の児童公園
ひとり頬張るシメのアイスに
センチメンタルな
ギッタンバッコン

飼い主は百一歳で
毎朝のエサの準備のために
生きてる

本場より群馬の方が安かった
ねえねえが
雪塩爆買いして帰る

茜空
鱗雲
鯛焼き
家帰ろ

思春期の怠惰
Sex Pistols 
父に言わずに借りパクのまま

まぶた裏に萩を想い眠る日よ

「かぼちゃの離乳食たらふく」
のあくび

はんぺんと仲良くなって
折り曲げる

一対の肺の形でぶら下がる

人との接触冷感
　生姜する夜

総裁選　日頃の行い水鏡
諸行無常の　浮き沈み

Ｔ列に開演を待つ
深海は
百合の香りがさざめいている

木蓮の花咲くように
みどりごの右手が
雲のしっぽにふれる

春風はあなたに貸され、返された
そういうサドルの高さを漕いで

仙人が
霞を食べて暮らすみたいに
恋する乙女は
はちみつヨーグルトだけ食べる

金木犀の香りで窒息する地獄
文庫本のページの端の皺

そら
トビがあんなに高く飛んでいる
影もないくらいだ

女郎花は望んでいたのか
吾亦紅は泣いていたのか

ダム底のことは蜩のみが知る

Ｂ２から南瓜を持って３Ｆへ

枝豆を並べて魔法陣を描く

大人になった夢を見ちゃった
そう言って
母に甘えておやつが食べたい
新月の夜

懐かしいジャムの味
花柄の皿にロールケーキ
幼い頃を思い出す
歯痛の午後

くるぶしを照らす
夕陽の色が何よりも美しかった
手首の古い傷は自分への鼓舞

存在の打ち寄せる音 夜の海

鶏頭の襞の奥へと詩を書きに

蜜柑ひかる文鳥硬くなってゆく

自分自身に輪郭がないから
抽象的なものに縋るしかなかった

「大豆」が「大吉」みえた。
いつだって笑顔の準備はある。

出会って混ざって濁って個性

風葬を言葉は全て蝶となる

ぺんぎんの
ひなを
ふたりで見つめれば
むごんに春のひだまり満ちる

かーてんの
裏で
ふくらむ秋の陽の
焦げたバターのようなしきさい

かいじゅうの
ように
驟雨をなぎたおし
きみの待つ駅まで駆け抜ける

なのはなの新芽を
なでてゆくように
きみがはじめて下の名を呼ぶ

枝垂桜父許すことあきらめて

檸檬ひんやり
私の影も

秋夕焼リュックに揺れる鈴の音も

会いたいと呟くほどに遠ざかる
ただしい図解になれない僕ら

薄黄色の点字ブロック踏む度に
私の背からもげ落ちる羽根

秋晴のティンパニの裏秘密基地

生きるって白桃ほどの恥ずかしさ

秋の夜
煙突のあるクリニック

秋風がときおり入るコンビニの
お菓子の棚の前で見つかる

ＡＴＭの口すぐ閉じて冬薔薇

ラップの水垂れて後の月ひかる

地下鉄の水買う打ち明けたいこと
がある

ねむるとき
なにかに落ちて
ぼくたちは
うまれるまえのじかんを生きる

セイタカアワダチソウで
雲を泡立てた
絵画のような夕暮れが来た

嘘が好きたとえばきみに生える羽

嫌われて叩かれようが虫は飛ぶ
僕の持たない羽のきらめき

触れる袖
ここに私がいたことを
忘れてしまう人と見た海

うまれつき、
とこぼれる声のやわらかく
あなたの受胎以前にふれる

花束を消極的な比喩として
となりでねむる夜にほどいた

ここに死はあるかもしれず
あなたからもらった鍵が
ずっと冷たい

月光のようなひかりに冷やされて
ぼくを待ってるハーゲンダッツ

還る場所と言われ眼裏に浮かぶ
海に似ていたあの保健室

モーニングコール時雨の海を見て

内側の顔でさよなら。小鳥来る

履歴書に幻ですと書いてある

お墓にも小さいリボンつけておく

駅中のトイレの匂い消すために
春は少し遠回りする彼

点描画だったと気づく秋の庭

クッキーは木の葉の形
わたしにも
なりたいものがあったと思う

林檎持ち上げる林檎の重さぶん

一人づつ眠ってしまう流れ星

蜉蝣の骸かすかに海の色

沈黙の檸檬ひかりは直角に

晩秋の椅子の記憶がきしみだす

母の咳静かになって星座の夜

桃をむく間に散ってゆく子供

桜咲くことがニュースになる国で
光に重さなんてなかった

全部嫌で寂しくて秋雨きれい

十三夜の製氷器から羽化の音

風船に
秋の空気を吹き込んで
同窓会の欠席に〇

濃密な
二酸化炭素の海から逃げて
青信号だけの国

秋の朝ひとひとり通れるすきま

白亜紀を縮小したらうちの鳥

電車待つ
版画の線の秋しぐれ

音の波ひろうラジオの海岸線

金曜日の
メイク落としシートのきらめき

鱗粉が指に残ってそのままの
指で目を擦るそれからが夏 

宿題も好きよマーガリンっぽくて

鏡台の右側だけにうつる母

秋時雨　君はいまから図鑑です

ゆうやけがまだ帰ってくれない

ヨーグルッペ僕ら色なき風のなか

すぐ行きます。
寂しい縄跳びの音です

長い夜　空高く
インフィールドフライ

気管支の奥突き刺さる秋の夕

虫籠提げて
蒼白い

美術館

お気に入りの毛布みたいに
無花果のぬるくなった
切り口撫でる

蝉のない冬の木々にも心臓を
つけてあげたら材質めいて

もう年を取らない息子に
もうすぐ会えそうだよと報告する
墓掃除

茜空
鱗雲
鯛焼き
家帰ろ

シャネルのリップ
　真っ赤な秋うたう母

スーパーで　金魚になって
夕暮れる

木蓮の花咲くように
みどりごの右手が
雲のしっぽにふれる

春風はあなたに貸され、返された
そういうサドルの高さを漕いで

存在の打ち寄せる音 夜の海

蜜柑ひかる文鳥硬くなってゆく

夕焼け小焼けが聞こえない

幸せになってねと握られる
てのひら
葉は内側から枯れていく

どうやって耐えてきたのと問われ
手のひらは青々とした木陰

風葬を言葉は全て蝶となる

寝台特急月光浴びて鰭欲しがる

かいじゅうの
ように
驟雨をなぎたおし
きみの待つ駅まで駆け抜ける

泣き終えた後のすっからかんの空

なのはなの新芽を
なでてゆくように
きみがはじめて下の名を呼ぶ

祖母の骨
ひろう
右手のよどみなく
思慕は五感のようにあやうい

そうすれば牡丹の部屋に着く手筈

はち切れんばかりに芋虫の無邪気

人間も虹を架けれる　だが飽きる

流れ星残されるのはいつもぼく

星飛んで古い地獄を咀嚼する

かげふみの影のまま蛇穴に入る

世界が小さく見えるとき
自分の言葉を信じちゃだめだよ

枝垂桜父許すことあきらめて

会いたいと呟くほどに遠ざかる
ただしい図解になれない僕ら

夕立に
あなたのリズムを打ち明けて
わたしに芽吹く、輪郭

新しい校歌二番に「タワマン」と
入れるかどうか揉めている村

肋骨を箸で暴いてゆきながら
焼けのこらない心臓はここ

【破水】

という言葉の一義性を前にして、

それでも俺は水を破壊できない。

秋晴のティンパニの裏秘密基地

瞬膜を忘れて
僕ら、鳥威し

秋の夜
煙突のあるクリニック

ＡＴＭの口すぐ閉じて冬薔薇

ラップの水垂れて後の月ひかる

生き延びるつもりの
僕らありがとう
浅すぎるなら眠らなくていい

雨が降る
世界が少し透けている
確かにそこに誰かいたのに

いちじくのパフェに
ざらりと笑みふたつ

追熟のゆきすぎた実を放置する
そういうふうに傷つけていた

風になることを許され
ひとりずつ、窓から落ちる
頭を下に

モーニングコール時雨の海を見て

唐辛子わたしを赤に染めたがる

天高しTikTokの無重力

お墓にも小さいリボンつけておく

風吹けば風のかたちに沿うように
人の仕草のひとつひとつは

旅に出る夢を夢から取り出して

一人づつ眠ってしまう流れ星

母の咳静かになって星座の夜

ゆっくりと旋回している６と９

振り向けば雨　いつだって
あの子のいないところが世界

密やかな鈍痛木犀の路地は

虫籠に餌と餌ではないものと

チェロの弓立てかけたまま滅ぶ星

鱗粉が指に残ってそのままの
指で目を擦るそれからが夏 

なしくずし的に川面を見わたせば
わたしがわたしになって久しい

こぼれたのは栞
あなたの辞書にある
銃痕を剥がす目印として

崖自身
すみれを見ては死ぬべきかと

生理始まる寒卵手渡して

花柄の幽霊がいて秋を知る

おもいでに火を灯したら蛇花火

暗がりに触れて爪から消える妻

ゆうやけがまだ帰ってくれない

すぐ行きます。
寂しい縄跳びの音です

切るたびに
ネギ、葱、ねぎと別れゆく

AirPods 
私にとっての爆ぜる檸檬

舌の上で踊るのど飴は君の
階段降りる時みたいな音

自分を愛で満たして
そこから溢れ出た愛で
やっと人を愛せる

「かぼちゃの離乳食たらふく」
のあくび

はんぺんと仲良くなって
折り曲げる