見ないでと隠しきれない心を抱え

さてとされど
　　何をかせんと

冬将軍　
　　指笛吹いて　
　　　　　星の海

名乗り合う
ただそれだけの昼下がり

流木に火を灯す

海は運ばれて
同期していく妬みと痛み

生後三八六ヶ月の黄昏泣き

庭には二羽
裏庭には二羽
平和の象徴の　鳩の死骸
瓦礫の町は　平和の死骸

お箸とお椀が
ぶつかるカチャカチャと
お口チャックが生む
ハーモニー

取り返せないほど
デカい過ちから正しさを知る
日の手の冷たさ

消えたい日名鉄の音がこだまする

トマトの
ファンネームはトメイト　
夕陽はトマトより劣るから

ざらついた鉛に塗りし空の影
鏡の前では鈍く光って

落書きみたいな夢が
突然ビート刻み
僕の不安を踏み越え笑う
野良光のブルース

お互いに丸みを帯びた嘘をつく

この星は
夢と希望と絆とで
出来ていた……
いや、
出来ているんだ

濡れた教科書みたいにめくる堆肥
反射するラブホのネオン赤

思い出が黴ていく

銅像はずっと笑うね露霜の
抗うことも気だるい夜に

二駅先までを泳いでわたしめけ

泥まとわりつく沼を泳ぐ
この先は陸地か？
溺れないために泳ぐ

ダウン着た人工知能の除夜の鐘

在中のはんこを押してゆく夜の
事務室に押し寄せる黒うさぎ

冬銀河来世の職を予測する

夏の懈怠食べ過ぎて
私、青いトマトになりました

深き海底の光芒よ　
夢を紡ぎし希望の種

AIに任せばよくて小春風

一身上の都合でクッパJr.です

過ちの答え合わせも
わからないまま
背中を向ける愛しいあなた

「君はまだ生きるべきだ」
　　　　　　　　　　と誰かさん

八歳の安徳泣くよ虎落笛

年の夜のロッカー
ひとつ開いている

未読数を確かめていたときなんだ
らっこが貝を無くしていたのは

にごった水が
跳ねた唇を
舐めてしまって
きみと目が合う

粉薬のせいで
オレンジ味全部無理になるような
そんな恋が
喉奥にまだいる

「好きなのか
わからなくなってきちゃった」
主人公闇堕ち回ｷﾀ━(ﾟ∀ﾟ)

ふ　　る　　雪　の
い　の　り　の　
速　　度　に
　器　官　わ
　　倣　う

ぼくにだけ
可愛いと分かる
りんごの歯形

薄っすらと葉っぱが白くお化粧を
おこた愛しい
師走の北陸

冬の暮植木にハンガー掛かってる

寒雷にたましいを貸す
マンモグラフィ

水滴にかわる
温度の差があって
声にならない感情
だった

やわらかな細胞壁に守られて
不在者の
　ためたことばを
　ひらがなにする

ぎゅうぎゅうの銀河鉄道は
引くほど寒かった

同期みーんな社畜となった
ベツヘレム

愛は永遠(とわ)質量保存の法則
これがわたしのQ.E.D.よ

花疲れのワイン
黎明の車窓に再会の街が
謎かけし誘惑してくる

指示通り天気予報とすれ違う

海は全ての水を持ってない
私が海に着く時は　海が全ての
意味を持つ時

冴ゆる夜にオートチューンで
「好きだよ」と
歌えば婆やが顔をしかめる

オアシスのように
おでんにすがりつく
みぞれ程度が降るこのまちで

水やりを頼まれている地縛霊

ところで
背中にハネがついてますよ

鳰ＡＡＡ格級河川
(かいつぶり
とりぷるえーかくきゅうかせん)

ウール地が
チクチクするね
リスカ跡

耳塚に耳無き蛇の冬眠す

みかん棚　
空になる日があるだろう
そんな想像　できなかった朝

犬なりに世を憂いつつ語尾はワン

過去に溺れ　明日の残照をすする

バス停に忘れた傘は
誰かの役に立っていますか
もうすぐ降るよ
粉雪

雪握る音は水子の苦笑

バーコードの位置わからず
もたもたするセルフレジ
白菜漬も血圧も高くなった

冬帽子飛んで耳に入るエミネム

太陽を啜りふくらむ蚊の背中

すぐ愛に引きつけて読むきみの
その眼差しに説得力がある

この河は深いと思っていたけど、

朝は早い
夜は長いのに
一日は早い

転がったキャップ
とりにゆく元気もなく

熊鈴を
忘れちまった
拝殿で
長め強めに
鈴紐ゆらす

夕立が希釈を手伝う

光を火と呼んで(太陽も？)卵酒

薄氷を踏んでペガサスは飛び立つ

糖衣のような
「無理しなくていいよ」
知ってるよ
苦いのが詰まってるって

記憶に挟み込んだ栞は
八月の墓石に
こうべ垂れる老爺の絵

ドロドロの沼快感がお好きな世間

水星にもエリスにも
人が居て言葉があって
八百万の沙汰があって欲しい

あお、
貴方の空、帰り道の川 、
あなたのこころに
すんでいる
そのあお

不器用なタンバリンで
器用にリードする君に
ついて行きます

繰り返す日々のわたしの不確かさ
車窓に透きとおる影うつして

いっしまとわぬ遺書
お前には話しときたいしね

黒板に指を立てて引っかかる
音は傷つく心に似ている

眠れない夜は
多次元思考の
宇宙を巡る

型抜きが
されたクッキー生地のように
地球に映るいきものの影

罪人にイヤホン垂らす歌舞伎の子

真珠が歌を歌うなら
あなたに歌えない歌はない

しゃぼん玉ぷっくりと生みだして
うみだして
生まれさせてやった

えご

落ちて転がって削れて
そうして丸くなった自分も
悪くはないよね

好き、は嫌いの入口
知る、の果ては飽き
人の性はウロボロス

粉砂糖、泣きたくなるよ
靴はもうちいさくならない
　甘すぎるもの

反エントロピーの夢跡
覚めて益々鮮明となる

足裏でオオカミ啼いた、
よるべない
あなたの抄史を売ってきた

おかげさまお星さま
生きてきて　よかった
あの夜の歌にも

今知らぬどこかでいつか
会えるから
理想の人をマジで描く君

「死にたくない」
　　　　　という歌詞を冬の雲